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広島大学図書館蔵本(国文1679)のタイトルは「伊勢物語純極抄」とあるが、内容はほぼ『伊勢物語肖聞抄』に同じ。『伊勢物語肖聞抄』は、室町時代後期の連歌師*である宗祇(そうぎ、1421~1502)の講釈を弟子の牡丹花肖柏(ぼたんかしょうはく、1443~1527)がまとめた伊勢物語注釈書。「肖聞」の名は、肖柏の聞書*であることによる。伊勢物語注釈書の中でも伝本数が比較的多く、広く読まれたことが知られる。文明9年本、文明12年本、延徳3年本の3種が存するが、現存写本の大部分は文明12年本で、広島大学本もその系統に属する。

広島大学図書館蔵本(国文1679)写本1冊。奥書がなく書写年は不明であるが、江戸中期のものと考えられる。巻末に「光廣書」、後補の題簽に「伊勢物語純極抄 光廣作」とあるが、烏丸光広の作とは認めがたい。

なお、広島大学図書館には文明9年本系統の『伊勢物語肖聞抄』も所蔵されている(大国2816)。


*連歌師とは…連歌に巧みな人。連歌を職業とする人。連歌は、五・七・五の上句と七・七の下句を交互によんでゆく形の詩歌で、室町期に最盛期を迎えた。

*聞書とは…現代でいうところの講義ノート。講釈を聞いた者(多くは弟子)が師の説の内容をまとめ、師がそれを点検した。


【参考】

吉山裕樹・尾崎容子校『広島大学蔵本 伊勢物語純極抄』「翻刻平安文学資料稿」第6巻(1975年、広島平安文学研究会 )

山本登朗編『伊勢物語事典』(2025年、花鳥社):青木賜鶴子「注釈史(室町時代)」