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Letter by Takuan Soho 沢庵宗彭筆書状タクアンソウホウヒツショジョウ

Description

沢庵宗彭〈たくあんそうほう・1573-1645〉は臨済宗の僧。但馬国(兵庫県)出石(いずし)出身。生地で剃髪し、やがて京都の大徳寺へ行き春屋宗園〈しゅんおくそうえん・1529-1611〉の下で修行した。そして、一凍紹滴〈いっとうしょうてき・1539-1612〉に参じてその法を嗣ぎ、大徳寺第153世の住持に出世した。寛永4年〈1627〉、後水尾天皇〈ごみずのおてんのう・1596-1680〉の紫衣勅許をめぐる朝幕の対立に関わって、出羽(山形県)上山(かみのやま)に配流される。のち、許されて江戸に帰り、3代将軍徳川家光〈とくがわいえみつ・1604-51〉の帰依を受けて江戸品川に東海寺を開いた。正保2年〈1645〉73歳で示寂。後水尾天皇・徳川家光の信任篤く、詩歌・俳諧や茶道に通じた風雅の人であった。これは、南禅寺の以心崇伝〈いしんすうでん・1569-1633〉に宛てる。文中「当夏之合戦」、「仲夏(5月)末」の日付、脇付の「戦場下」などによって、元和元年〈1615〉5月に終局を迎えた大坂夏の陣を背景にした手紙とわかる。この戦乱の中、沢庵が住持をつとめる堺の南宗寺は被災炎上する。京都・大徳寺に避難の中での発信である。以心崇伝は、寛永4年〈1627〉、大徳寺・妙心寺の紫衣勅許事件に関して、幕府に抗議した沢庵・玉室らの処分にあたり、幕府側に立って厳科を主張して流罪に追いやった張本人である。同じ僧籍にありながら、宗教観は微妙に対立していた。この書状の文面を、後年起こったこの事件に重ね合わせると、極めて興味深い内容を含んでいる。「当夏之合戦」に始まる一条はまさに、沢庵が幕府の枢機にあずかり外交・寺社行政に深く参画しようとしていた崇伝へ、宗教者の矜恃を毅然と示した文言。文末に加えた皮肉とも思える「仏の前説法にて候。御免、御免。何事も聞かぬ顔にて馬の耳風が吹くとも思はざりけり」の言い回しには、沢庵の深謀が見え隠れするではないか。沢庵の心意気を示して余りある。数多い遺墨の中でも貴重な一通である。崇伝47歳、沢庵43歳。「因碩より状参り候。其れに就き因碩見舞い申さるべきの処、貴老御抑留の由、満足せしめ候。一々御書中納得申し候。万言万答申すに及ばず候。御息災の由承り喜悦に候。御床しき計りに候。/一、僧正(天海)、日光御在山の由に候。御所労如何、如何。御心元無く候。去りながら、然のみの御事とは聞こえず候。珍重に候。/一、賀州(加賀国)へ長老(崇伝)御下りの事は、先書に申し候間、申すに及ばず候。/一、世上の事、何事も思いままならぬ事、今に始まらぬ御事に候。/一、当夏の御合戦も漸く末に成り候。勝利得られ候哉。御満足察せしめ候。いまだ太平の天下には油断候はぬ御境界(胸懐)痛はしく存じ候へども、楽は其れ程々にある事に候間、無間の底をさへ彼の衆生は楽しむよし候へば、其の外の御事は余儀無く候。先ず先ず如何程も合戦を楽しみ候て、生々の後に御合点の時に至るべく候。修羅闘諍の武夫も刀子を研ぎ磨きて、これを楽しみとする事に候。寂滅楽(寂滅為楽)を楽しむ事は、はるかに遠き有様、目前の御事に候。錆びたる兵具成りとも、求め候て合力申し度く候。猶も嗔(瞋)恚の焔を強くと御嗜み、目出かるべく候。あなかしこ、あなかしこ。/智慧を真法に嫌ひ候が、老子の道にも然も候や。智慧出て、大偽有りと哉らん見え候しか。/仲夏(五月)の末宗彭(花押)/仏の前説法にて候。御免、御免。/何事も聞かぬ顔にて馬の耳風が吹くとも思はざりけり/(花押)/以(心崇)伝長老戦場下」

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July 3, 2022