Seven Sages in a Bamboo Grove (Formerly on the sliding doors in the Nagashima household) 竹林七賢図 8面(旧永島家襖絵)
Description
曾我蕭(しょう)白という人は、随分人を食った画家だった。自分の作品の一つに堂々と「明太祖皇帝十四世玄孫蛇足軒曾我左近次郎暉雄入道蕭白画」とサインするくらいなのだから。ジュゲムジュゲムと人をけむに巻く魂胆か、ともあれ正体がぼやけて中心がつかみ難いが、隠そうとした本心は実は「蕭白」という名にかえって明々白々ではなかったか。「蕭」と「白」は仲のよい言葉である。「雨は蕭々と降ってゐる」(三好達治)というように、「蕭」は「さびしくて」「さわがしい」ものを形容するときに力を最大限に発揮する。「楚辞」における屈原を連想しながら、その系譜を引く宋玉の「悲しい哉(かな)、秋の気たるや蕭瑟(しょうしつ)として草木揺落し変衰す」を思いだしてもいい。悲運の詩人の魂を波立たせる舞台は秋こそふさわしい。秋の色は「青春朱夏白秋玄冬」というように、中国では古来から「白」と決まっていた。そこに和歌の定番である「秋/飽き=ためいき」をつなげることも出来る。「秋」を隠し味にして「蕭」と「白」はしっかり結び付き、増幅した心情のリズムは同心円を描いて広がりながら葉が落ち尽くした木立の間を涼気が寂しく通り抜けていく。そういう「地」の上に大胆に「狂」のごとく描かれた「図」。それが曾我蕭白の絵である。彼の心は屈原とまではいかなくても、天明の狂歌師のように世間を外にさめていたのかもしれない。 (県立美術館学芸員・東俊郎)
Data source
Mie Prefectural Art Museum Collections
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Last updated
May 3, 2024