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東京大学附属図書館 図書館に眠る震災の記憶展

令和5年度東京大学附属図書館特別展示 電子展示サイト

ごあいさつ

東京大学附属図書館では、毎年、全学で所蔵する貴重な資料を学内外の皆様にご覧いただくため特別展示を行ってきましたが、総合図書館の耐震改修工事(平成27(2015)年-令和2(2020)年)とコロナ禍により、やむを得ずしばらく休止しておりました。昨年、8年ぶりに再開し、関東大震災後100年にあたる本年は「図書館に眠る震災の記憶」を開催いたします。

本展では、震災によって失われた蔵書の記録や奇跡的に救われた資料などをとおして、東京大学附属図書館にもたらされた甚大な被害を改めて振り返ります。

東京大学附属図書館は、大正12(1923)年の関東大震災によって建物は全壊し、ほぼすべての蔵書が灰燼に帰する大きな被害を受けました。現在の建物は、ジョン・ロックフェラーJr.氏からの寄付を受けて昭和3(1928)年に再建したものです。内田祥三(工学部教授兼営繕課長、後に総長)による設計は鉄筋コンクリート造りの頑強な構造を備え、21世紀の耐震基準に当てはめても外観を損なうような補強は必要ありませんでした。二度と蔵書を失わない、東大の学問を守り抜く、という強い意志の表れであると感じます。

本展では、火災に遭いながらも焼け残った蔵書や、館外に貸し出されていたために難を逃れた貴重な図書を、総合図書館が受けた被害を物語る写真や文書、関連資料とともにご覧いただきます。また、文学者や旧制第一高等学校生徒の手記などをパネル展示でご紹介します。

本展を通じて、地震被害への認識を新たにし、防災について改めて考える機会としていただくとともに、東京大学の学問の礎を守ってきた図書館の歴史を思い、デジタル化と人工知能の時代の新しい図書館を考えていただく契機となれば幸いです。



令和5年8月 

東京大学附属図書館長 

坂井 修一 


展示資料の紹介

今回の展示では、関東大震災による被害状況を今に伝える写真や当時の刊行物などに加え、通常は公開していない図書館の事務用資料をご紹介します。

 →「図書館に眠る震災の記憶」展 展示資料リスト【PDF形式】


【 電子展示サイトの資料について 】

●凡例

  • 資料番号は、展示会場での資料番号と一致しています。
  • 資料番号が付いていないものは、本電子展示サイトのみの紹介で、会場では展示していません。

1 川上廣樹著 明治13 [1880]年                                                                             2 書写者, 書写年 不明                                                                                                        3 石塚左玄纂 明治9 [1876]年                                                                                    いずれも火災の中から助け出された資料たち。一部焼け焦げている姿が痛ましい。

震災以前に図書館に受け入れ、焼失を免れた図書の台帳。受け入れた順に番号を振り、書名・冊数・価格等を記載し、資産として図書を管理するためのもの。                                                               総合図書館では震災前から所蔵していて被害を免れた資料を「焼残本(やけのこりぼん)」と呼んでいる。                                                                               *10月21日(ホームカミングデイ開催日)は、旧図書原簿は展示されません。

大正12(1923)年                                                                                                                                数々の画家により描かれた震災当時及び震災後の景色・様子を描いた絵画集。東京大学についても「文教の最高を誇ったその建物も今は空しい。」の言葉ともに大学構内で崩れ落ちた建物が描かれている。

昭和5(1930)年                                                                                                                                                                                                                                                   焼け落ちた旧図書館の姿「事務室の残骸」「書庫の残骸」、新しく着工した新図書館の工事が進む様子、また新図書館が完成し使えるようになるまでの仮図書館で勉学に励む学生の様子などが写真でつづられている。                                                                      昭和3年の新図書館の竣工、図書館の復興を記念して刊行、配付された。          

十月特輯大震災號 大正12(1923)年                                                                  震災直後に発行された特集号。                                                                             東京大学関連では、「東大図書館の震火」「可燃性薬品の貯蔵に就いて:帝大出火の原因」などの記事が掲載されている。

1923年大震災號 大正12(1923)年                                                              政治、経済、思想等、多様な角度からの、震災とその被害、復興についての随筆を掲載。野上彌栄子「燃える過去」掲載。

1934年11月号 昭和9(1934)年                                                          寺田寅彦の随筆「天災と國防」を掲載。「天災は忘れたころにやってくる」という言葉はこの記事によると言われている。                                         *「天災と国防」は青空文庫でも公開されています。                                           https://www.aozora.gr.jp/cards/000042/files/2509_9319.html

吉村冬彦著 昭和11(1936)年                                          「吉村冬彦」は寺田寅彦の筆名。                                                      「震災日記より」として、大正12年8月24日~9月3日までの日記に、震災当時の被害と混乱の体験が掲載されている。                                                 *「震災日記より」は青空文庫でも公開されています。                                          https://www.aozora.gr.jp/cards/000042/files/4671_13525.html                            

*国立国会図書館デジタルコレクションで公開されている資料です。

石川真琴画 大正13(1924)年                                                                                                            市ヶ谷、水道橋方向から、東京湾方向を俯瞰した絵巻図。西は新宿渋谷から東は北千住付近までが描かれている。震災後の巻では、火災が発生した地域を焼け跡として描いており惨禍の大きさが伝わる。                                                              *国立国会図書館デジタルコレクションでも公開されています。                                                                                                                                         震災前の巻: https://dl.ndl.go.jp/pid/966756/1/1                                                               震災後の巻: https://dl.ndl.go.jp/pid/966757/1/1

大正12(1923)年                                                                                       被災後の丸ノ内、上野、浅草、駿河台、芝浦、両国等の写真。焼け落ちた街の様子を広範囲と至近距離の両方で見ることができる。                                                                            

東京帝国大学図書館の用紙に記述された、焼失図書、残存図書等の調査記録。分野ごとまたは、和書・洋書の別に、部数、冊数、価格が記載されている。また大正13年度以降に購入・寄贈などで増加した冊数の記録も残っている。                 

「焼失貴重図書」として、旧内務省や大蔵省所管の法制資料、経典類、江戸時代の古浄瑠璃本、個人から寄贈された学術書、幕末の外国との条約正本などの記録が見える。また、洋書は、 Friedrich Max Müller文庫 約10,000冊、Heinrich Dernburg文庫 約6,000冊ほかが記録されている。                                       

焼跡から収集した資料や建物の残骸を保存し展示している。                                                                                                                                                                   熱で溶けた鉄と資料が混ざりあったもの、下層にあったために蒸焼状態になったと思われる資料の焼灰など、胸が痛むとともに、その災害を忘れないための貴重な遺物となっている。

図書館では震災により多くの資料が失われましたが、辛うじて難を逃れた貴重な資料の一端をご紹介します。

※「16:甲午日記」および「17:稿本 自然眞營道」は、10月21日(土,東京大学ホームカミングデイ開催日)のみ現物資料を展示します。

こうご にっき                                                                                                                                           瀧澤馬琴著 天保5(1834)年                                                                                                                                                                                                「南総里見八犬伝」などで有名な瀧澤(曲亭)馬琴の自筆日記。                                                                                                                                                                                                                                  通称馬琴日記は、15冊を所蔵していたが、震災当時、研究のために貸し出されていたこの1冊以外は、焼失した。裏表紙見返しに以下の書き入れがある。                                                                                  「大正震災前本館旧蔵の                                                                             馬琴日記十五冊を数へしも劫                                                                  火に遭ひ辛ふじて之一冊を残すのみ                                                            昭和五年十二月に至つて修復を了せり」                                                                

こうほん しぜん しんえいどう                                                                                                    安藤昌益著[書写者不明]                                                                                                                                                                                                              もとは百一巻九十三冊からなっていたものを、大正12年(1923)に東京帝国大学附属図書館が購入したが、震災によりその大部分を焼失。十二巻十二冊が焼失を免れ、貴重図書として現在まで伝えられている。

パネル展示紹介

第1展示会場(展示スペース)では、現物資料の展示だけでなく様々な資料をパネルにしてご紹介しています。

東京帝国大学時代の本郷キャンパスの平面図。                                                                           震災前の大正6年と、震災後の大正13年を比べることで、被害に遭って失われた建物の場所がよくわかる。

内務省社會局編 大正15(1926)年                                               『大正震災志』は内務省社会局が発行した上巻・下巻・附図から成る資料で、東京だけでなく神奈川県、千葉県、静岡県など関東大震災により被害を受けた各地の被災状況や救援活動の様子などがまとめられている。今回の展示では、東京市の延焼状況が分かる図をパネルで紹介している。

*『大正震災志』は国立国会図書館デジタルコレクションで公開されています。また東京都立図書館のTOKYOアーカイブでも公開されています。                                     https://archive.library.metro.tokyo.lg.jp/da/detail?tilcod=0000000006-00002462

*国立国会図書館デジタルコレクションで公開されている資料です。                                      内務省社会局編纂による震災写真集で、膨大な震災写真から約450枚を選定しています。『大正震災志』と併せて、震災当時の様子を把握できる資料です。

当館には僅かながら、震災前の図書館外観や震災直後の図書館の様子が分かる写真が残っており、火災前後の図書館の姿を伝える貴重な資料の一つである。今回の展示では、それらの写真をパネルで紹介している。                                                    *写真の一部は「館史資料コレクション」として一般公開しています。                                           https://iiif.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/repo/s/kanshi/page/home

文学に眠る図書館震災の記憶

文豪たちが見た関東大震災

震災当時、川端康成は東京帝国大学国文学科に在籍しており、千駄木にある下宿で暮らしていた。                                                 地震発生時の様子は、雑誌「若草」(昭和5年9月号・第7巻第9号)掲載の「文科生の頃」に書かれている。                                                                           (画像は、国立国会図書館電子展示会「近代日本人の肖像」から)

芥川龍之介は震災発生の翌月、「婦人公論」大正12年10月号​ (第8年第11)において「古書の焼失を惜しむ」を寄稿している。大学図書館の蔵書が焼けてしまったことは大学の落ち度であるとし、また総合図書館に今も残る「洒竹文庫」が燃えてしまったことを嘆いている。                                                             参考:洒竹文庫は、大野洒竹(1872-1913)が収集した江戸時代の俳書コレクション。現在は総合図書館の貴重図書に指定されている。                                            https://www.lib.u-tokyo.ac.jp/ja/library/general/collectionall/shachiku                                                                   (画像は、国立国会図書館電子展示会「近代日本人の肖像」から)

沼波瓊音(ぬなみ けいおん)は国文学者・俳人。震災当時は第一高等学校の教授であった。著書『芭蕉の臨終』(斯文書院, 大正15年刊行)において、震災の当日、図書館は焼け落ちてしまったが僅かながらの図書が救出されたことを描写している。                                                              *「芭蕉の臨終」は国立国会図書館デジタルコレクションで、「送信サービスで閲覧可能」な資料として公開されています。                                                         https://dl.ndl.go.jp/pid/1904869

大内兵衛は経済学者で、震災当時は東京帝国大学経済学部助教授であった。「エコノミスト」第36年第30号には、文科の本館にあった貴重なアダム・スミス文庫を、当時の用務員が決死の覚悟で運び出したことが記されている。

内田魯庵は雑誌「改造」第6巻4号(大正13年)において、関東大震災で失われた膨大な文献を惜しむ随筆「典籍の廃墟」を寄稿している。

震災当時、第一高等学校(旧制)は現在の弥生キャンパスの位置にあった。この『大震の日』は、一高の生徒たちが震災時の経験を振り返った作文をまとめて一冊の本にしたものである。当時の一高生徒たちの驚き、不安が様々に綴られている。                                                                 *「大震の日」は国立国会図書館デジタルコレクションで、「送信サービスで閲覧可能」な資料として公開されています。                                                 https://dl.ndl.go.jp/pid/981885

新聞からたどる関東大震災

新聞
次の各紙をパネルで紹介しています。                                                                                                      ●償い難き図書の焼失 帝大の七十万巻烏有に 大阪朝日新聞 一九二三年(大正十二年)九月十日 一面                                                                                             ●東大図書の損害は約一億万円 到底手に入らぬ三千冊 讀賣新聞 一九二三年(大正十二年)九月十四日 二面                                                                                  ●東大図書館にあった博士論文が丸焼け 出版もできず困った著者 東大と文部省一悶着か 讀賣新聞 一九二三年(大正十二年)十月二十三日 三面                                                                ●震災の損害一億円以上に上る 惜しむべき珍書の焼失 帝國大學新聞 一九二三年(大正十二年)十一月八日 二面 (帝國大學新聞[復刻版]不二出版)                                                                           ●耳鼻科のバラックに借住居の図書館 今月中旬閲覧を開始 復興は案外速からんか 帝国大学新聞 一九二三年(大正十二年)十一月八日 二面(帝國大學新聞[復刻版]不二出版)                                                                                                                            ●被害測り難き東京大震災 下野新聞 大正十二年九月二日 第二号外

東京大学に眠る図書館震災の記憶

図書館のほか、東京大学の各所に関東大震災の記憶を現在に伝える資料が残されています。会場では、東京大学文書館に協力いただき、文書館所蔵「大正十二年十一月東京帝国大学構内及ビ附属航空研究所火災報告 附図(別冊)添附」(内田祥三関係資料)をパネル展示しています。

また、地震研究所が作成した関東大震災関連パネルも展示しています。

文書館-内田祥三関係資料

大正12(1923)年11月[発行]                                                                                                                                                                                                                                                 この火災報告書の2ページ目に図書館への言及があり、隣接する薬物学教室の火が図書館の天井裏に飛び込み、上部から次第に2階、1階へと燃え下っていったことが書かれている。                                                                            *出典サイト「東京大学文書館デジタル・アーカイブ」で閲覧できます。なお、「東京大学文書館デジタル・アーカイブ」ではキーワード検索のほか階層構造表示をもとに資料を見ることもでき、歴史資料等 > 総長資料 > 内田祥三関係資料 > 大学本部関係 > 関東大震災 と辿ることで、関連資料を閲覧できます。

地震研究所-関東大震災関連パネル

地震研究所パネル External Site

地震研究所が作成した関東大震災に関連するパネルも展示しています。是非会場でご覧ください。

年表で見る図書館・震災関連の出来事

関東大震災が起こる前の旧図書館の様子から1931年頃までの、震災前後の出来事、トピックスを年表形式でご紹介します。 ※年表上の項目をクリックすると、関連写真や資料がご覧いただけます。

1923: 関東大震災発生
1928: 新図書館完成
1930: 「図書館復興帖」の刊行
1924: ロックフェラーJr氏からの寄付
1930: 『甲午日記』の修復完了
1924: 大学入試
旧図書館(1923以前)
1926~: 新図書館の再建
安田講堂竣工
1923: 仮閲覧室の開設
1926: 図書館復興展覧会
1925: 南葵文庫授受
1923: 関東大震災発生
炎上する東京帝国大学附属図書館
大正12(1923)年9月1日に撮影されたと伝わる、図書館が炎上する様子を写した写真。
大正大震災誌
12ページに「本郷」の項目があり、「東洋文化の殿堂といはれた、図書館が見る〱火に包まれ、如何ともする術がなかった。」と記載されている。
大正大震災記
「償ひ難き文献的の損害 三日間燃えた大学の図書五十万冊」という見出しで、図書館の被害状況が詳細に記載されている。

【終了しました】展示会情報

■ 展示会ご案内資料

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■ 会期

 2023.8月25日(金) ~10月25日(水) ※展示会は終了しました。多くのご来場ありがとうございました。

■ 会場

 東京大学総合図書館(本郷キャンパス)

 展示スペース及びオープンエリア

■ 開室時間

 平日 9:00~22:30(8月は21:00まで)

 土・日・祝日 9:00~19:00(8月は17:00まで)

 ※9月21日、9月24日は閉室日

■ 学内の方・学外の方いずれも展示会観覧の事前予約は不要です

※東京大学に所属されていない方(入館証をお持ちの方をのぞく):所蔵資料を利用する場合は事前予約が必要です。詳細は「東京大学に在籍していない方の総合図書館の資料利用について(事前予約制)」をご確認ください。

■ 入場は無料です

■ 会場へのアクセス

 東京大学総合図書館へのアクセス情報


※詳しくは附属図書館ウェブサイトのページをご覧ください。

関連リンク

お問い合わせ

東京大学附属図書館所蔵資料展示委員会(附属図書館情報サービス課)

電子メール utl-tenji-group@g.ecc.u-tokyo.ac.jp