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喜多川歌麿展 〜青楼七小町〜

【館長挨拶】

 ご来館、誠にありがとうございます。本館では昨年のNHK大河ドラマでも話題となった「喜多川歌麿」の作品に関する資料を展示しております。作品に描かれた歌麿の思いを探っていきます。心ゆくまでごゆっくりお楽しみください。


【この展示について】

 いくつもある歌麿の作品。それぞれに込められた歌麿の思いを展示品とともに探っていきましょう。この展示では七人の美女を描いた「青楼七小町」を展示しています。


喜多川歌麿の生涯

青楼七小町の制作
寛政の改革
「解体新書」の翻訳
歌麿生誕?
歌麿 没
青楼七小町の制作

青楼七小町

  • 「青楼七小町」 「玉屋内 花紫」「せきや」「てりは」

    歌麿〈1〉,泉佐版

    七小町と題があるが、単に7人の美女という意味に用いたとされる。

    館長からの一言

     口にくわえているのはキセル、ではなく筆です。この女性は花紫という名前の玉屋内三郎お抱えの呼び出し。呼び出しとは遊女の中でもトップクラスの遊女のことを言います。当時は格子戸の中で客を呼ぶのが当たり前でしたが、これらの遊女は呼び出しよりランクが低い者たちで、呼び出しの遊女は客が直接部屋に来ていました。それほどに人気があり、高級な遊女とされる者たちです。冒頭で書いたように筆をくわえているのが印象的な作品。左手に持っているのは手紙です。当時は大事な客に対して手紙を書いていました。その状況を描いたものです。髪は大きなかんざしのようなものでとめられています。この髪型はばいわげといい、貝殻のような髪型から、漢字で貝髷と書きます。

    千葉市美術館参照日二月十五日https://www.ccma-net.jp/collection/works/3620/


  • 「青楼七小町」 「玉屋内 明石」「うら次」「しま野」

    歌麿〈1〉,泉佐版 泉佐

    館長からの一言

     先ほどの作品と同じ、玉屋内と書かれています。玉屋内とは当時最も格式の高かった店の角玉屋を表しています。これは明石という遊女で、右手を顔に近づけ、何かを考えているように見えます。髪がボリューミーに見えます。これは大丸髷という髪型です。青楼七小町の中で最も代表的な作品です。

    神奈川県立歴史博物館参照日二月十五日https://ch.kanagawa-museum.jp/dm/ukiyoe/rekisi/ougon/d_ougon05.html

  • 「青楼七小町」 「扇屋内 滝川」「男なみ 女なみ」

    歌麿〈1〉,泉佐野

    館長からの一言

     右手を顔に添えて何かをアピールするような仕草をしています。遊女にとって一番大切なことは自分の魅力を客にアピールすることですから、こうした姿はよく見られたようで、客と遊女の距離感をより親密にしようとした作品です。歌麿は吉原をより賑やかにしようと、客に遊女に興味を持たせるような作品を描いていました。

  • 「青楼七小町」 「大文字屋内 多賀袖」「とめき」「かほる」

    歌麿〈1〉, 泉佐

    館長からの一言

     遊女の象徴とも言えるキセルをくわえています。多賀袖という名は誰袖と書かれることもあります。彼女は禿から成り上がった遊女で江戸中を騒がせた美女と言われています。その美しさが作品の中では、他の遊女と違った目の描き方や眉毛の描き方をされています。その美しさが伝わってくる作品です。着ている着物は綺麗な花の模様です。細かいところまで再現された作品です。

  • 「青楼七小町」 「松葉屋内 喜瀬川」「さゝ野」「竹の」

    歌麿〈1〉,泉佐版 泉佐

    館長からの一言

     青楼七小町に描かれる遊女の中で唯一髪を下ろしています。この長い髪が遊女の、女性の美しさを表しています。当時の遊女は一般的に客の前では髪を束ねていたので、これは喜瀬川の裏の顔を描いた作品ということが分かります。歌麿は客の前の姿以外の遊女も描いていました。

  • 「青楼七小町」 「鶴屋内 篠原」「しのふ」「うたの」

    歌麿〈1〉,泉佐版

    七小町と題があるが、単に7人の美女という意味に用いたとされる。

    館長からの一言

     左手にかんざしを持ち、髪を整えています。やはり、遊女にとって髪は魅力の一つだったようで大切にしていたことが分かります。歌麿は遊女たちの客の前の姿ではないところも描いていました。歌麿は遊女のプライベートの姿を描くことで作品を通して遊女と客との距離を縮めようとしていたのかもしれません。

  • 「青楼七小町」 「若那屋内 白露」「磯治」「磯野」

    歌麿〈1〉,泉佐版

    七小町と題があるが、単に7人の美女という意味に用いたとされる。

    館長からの一言

     こちらの遊女、白露もかんざしに手を当てています。 右手にはピンク色の何かを持っています。もう髪型は決まっており、毛並みも美しく、完璧と言っていいほどですが、白露にはまだ何か気に入らない部分があるのでしょう、何度もかんざしを出し入れする姿が想像できます。それほどに遊女にとっていちばんの商売道具は大きな髪だったことがうかがえます。

【展示をご覧いただいた方へ】

 喜多川歌麿作「青楼七小町」、いかがでしたか?ここでは歌麿の思いとともにそれぞれの遊女を見てきました。当時、吉原の賑わいに陰りがありましたが、歌麿の数々の作品のおかげで吉原が画期づいたといっても過言ではありません。細かいところまで、遊女の魅力を描いていました。この作品たちが客の心を揺さぶった。私はそう考えます。皆様はこの展示を見て歌麿についてどんな考えをもったでしょうか。新たな発見があれば幸いです。本日はご来館いただき、まことにありがとうございました。

【関連イベントの紹介】

 歌麿は同じ遊女でもまた姿を変えて描いています。違いを見つけてはいかがでしょうか。また、歌麿の時代の他の浮世絵師の作品と本展示品を比べ、歌麿の筆の特徴を見つけるのも面白いのでは?

☆太田記念美術館では三月一日までの浮世絵展が始まります。ぜひ行ってみては?☆

公式ホームページ→https://www.ukiyoe-ota-muse.jp/

さらに、葛飾北斎の書き方も見てみては?

☆国立西洋美術館では三月二十八日から北斎の浮世絵展が始まります。北斎と歌麿、書くものこそは違いますが,北斎の思いも探ってみては?☆

公式ホームページ→https://www.tokyoartbeat.com/events/-/Hokusai-Thirty-six-Views-of-Mt-Fuji-from-the-Iuchi-Collection/DD-504118/2026-03-28